登録販売者を目指す上で勉強する方法は複数あります。
「自分に合った勉強方法が分からない……」
「独学でも合格できるのだろうか」
「独学だとどう勉強すればいいか分からない」
といった方もいるでしょう。そこで本記事では、各勉強方法の特徴やおすすめ参考書、独学で合格を目指すうえで考慮したい点などについて解説していきます。これから登録販売者の資格を取ろうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
登録販売者試験とは?
登録販売者試験は、都道府県ごとに少なくとも年に一回実施されます。2015年度実施の試験から受験資格が撤廃されており、申し込みさえすれば誰でも受験が可能です。ここでは登録販売者試験について解説していきます。
合格基準
医薬品登録販売者試験の合格基準は、以下の通りです。
- 総出題数に対する正答率が7割以上であること
- 各試験項目の正答率が35%~40%以上であること
そして、各試験項目とは以下の5つになります。
- 医薬品に共通する特性と基本的な知識(20問)
- 人体の働きと医薬品(20問)
- 主な医薬品とその作用(40問)
- 薬事関係法規・制度(20問)
- 医薬品の適正使用・安全対策(20問)
登録販売者試験は120問あり、各問1点で120点満点です。合格基準の7割以上の点を取ろうと思ったら、最低でも84点をとらなければ合格はできません。
また、合格基準である各試験項目の正答率が35%~40%以上であること、という点に気をつけましょう。つまり、84点以上取ったとしても、例えば第4章が0点だったら不合格になってしまうということですね。自分は法律が苦手だから第4章は捨てて他の章で点を稼ごう、などのように捨て科目をつくることは不可能です。
これらのことから、苦手な章をつくらず、全ての章において安定した点を取れるように心がけるようにしましょう。
試験の難易度
令和4年度登録販売者試験の合格率の全国平均は45.3%であり、半分近くの受験者が合格しています。登録販売者試験はマークシート方式で出題されるため、分からない答えがあっても消去法で答えを導きやすいです。
県によっても難易度は変わってきますが、大事なポイントをおさえておけば、それほど難しい試験ではないと言えるでしょう。
参考)厚生労働省医薬・生活衛生局,2023,「令和4年度登録販売者試験実施状況」,厚生労働省,(2024年3月22日取得,https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001133112.pdf )
申し込む際の注意点
試験日や申し込み期間は各都道府県によって異なるため、受験予定である都道府県の登録販売者試験について、事前に日程などについて確認するようにしましょう。
勉強方法
登録販売者の勉強方法にはいくつかの方法があります。ここでは、それぞれの方法のメリットとデメリットについて解説していきます。
通信講座
通信講座とは学習に必要な教材が自宅に送られ、学習サポートを受けながら自宅で学習をする方法です。
通信講座のメリットは、分からないところを質問できる点です。受講する通信講座によっては、質問回数が無制限のところもあれば、回数制限があるところもあります。通信講座を利用する場合は、各社の特徴を調べて自分に合った通信講座を利用するようにしましょう。
また、自分のペースで勉強できるのもメリットのひとつです。仕事や家庭を持っている方などは、すきま時間に少し勉強したり、時間がある時に一気に勉強できたりするのがうれしい点です。
デメリットは独学と比べると費用が高くなることです。通信講座にかかる費用は利用する通信講座によって変わりますが、3万円~5万円程度が必要となります。
そのため、資格取得になるべくお金を使いたくない人にはむかないでしょう。
通学講座
通学講座は通学しながら勉強する方法です。通学講座のメリットは、分からないところをその場で講師に質問できるため、疑問をその日のうちに解決できることが挙げられます。また、通学講座は自分で好きな時に勉強する方法だと、勉強を疎かにしてしまう人におすすめです。
通学講座の場合、あらかじめ講義の日程や場所が決まっており、そこに行かなければ勉強できません。つまり、勉強する時間と環境を半ば強制的に作り出すことができるので、「自分だけで勉強するといつも挫折してしまう……」という方にはおすすめの方法です。
デメリットは、通学に時間がかかることや仕事や家庭を持っている人は、まとまった時間を確保しにくいことなどが挙げられます。また、一般的には、通信講座よりも通学講座の方が受講費用は高くなることが多いです。通学講座にかかる費用は、受講する通学講座によって変わりますが、5万円~7万円程度が必要となります。
独学
独学の一番のメリットは費用が安く済むことです。独学に必要なのは、参考書と問題集程度で十分です。参考書を2冊、問題集を1冊程度買ったとしたら、高くても1万円程度に抑えられるのではないでしょうか。
また、独学のメリットは自分の好きな時間に勉強できることです。すきま時間に勉強できるので仕事終わりに少し勉強したり、休みの日に一気に勉強を進めたりすることもできます。
デメリットは、通信講座や通学講座のように分からないところを講師に聞けないので、自分で調べて解決する必要があることです。しかし、基本的に参考書に答えは載っていますし、分からないことがあればネットで調べることでほとんどの場合解決できます。そのため、あまり心配する必要はありません。
また、勉強する習慣をつくるのが苦手な人は、モチベーションを維持するのが難しいことがデメリットと言えるでしょう。独学の場合は高い金額を払わなくても勉強を始められるために、少しでも困難にぶつかると挫折しやすくなります。独学で勉強してもいつも挫折してしまうという方は、ほかの方法を検討した方がよいでしょう。
独学でも合格できる?
継続してちゃんと勉強できれば、独学でも十分に合格は狙えます。大事なのは継続してちゃんと勉強できるかです。
逆に言えばやる気がない人は、いくら通信講座や通学講座を受けても受からないと思います。通信講座や通学講座をたとえ受けたとしても、復習を疎かにしたり、他のことを考えながらぼんやりと講義を聞いたりしていたら、合格するのは難しいでしょう。
通信講座や通学講座を受講するだけで勉強した気になる人もいるかもしれませんが、一番大事なのは、なぜここを間違えてしまったのか、自分が苦手なところはどこなのか、などと考えながらちゃんと勉強することです。ひとことで言い換えれば、勉強したふりをしないことです。勉強する上でこれが一番大事なことだと思います。
なので、継続してちゃんと勉強できれば、独学でも十分に合格はできると言えるでしょう。
おすすめ参考書
ここでは、私が実際に登録販売者試験の勉強に使用した参考書を紹介していきます。どの参考書を選べばよいか分からないという方は、ぜひ参考にしてみてください。
登録販売者試験 合格テキスト&問題集 第4版
全体的に詳しく分かりやすくまとまっている参考書で、特に重要なポイントはより詳しく解説されているため頭に入ってきやすいです。
私は過去問を解いた後の答え合わせの際や、分からないことがあった際にこの参考書を主に使って調べていました。
各節にはミニテストがついており、章末には本番と同じ出題形式の過去問がついています。そのため、テキストを読み進めながら理解度が確認できるのがうれしい点です。頻出問題には印がついているため、どこを重点的に覚えたらよいか一目で分かります。
7日間でうかる!登録販売者テキスト&問題集2023
簡潔な説明によって重要な点がコンパクトにまとまっている参考書です。イラストもついているため、視覚的に理解しやすいのもおすすめポイントです。
重要な点がコンパクトにまとまっているので、私は試験前の最終確認で全体をざっと復習したいときに愛用していました。
頻出箇所にはマークがついており、複数の地区から出題された頻出箇所には網かけがされているため、とても分かりやすいです。
独学で合格するために大切なこと
独学で勉強する場合、具体的にどう勉強していけばよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。一番よいのは自分に合った勉強方法を見つけることです。
しかし、「何から手をつけたらいいのかも分からない……」という方もいらっしゃるかと思います。ここでは、独学で合格を目指す上で考慮したい点についてまとめています。勉強する方法に正解はないので、ここにまとめたことを参考にしつつ、ご自身に合った勉強法を見つけてみてください。
毎日勉強机に向かう習慣をつける
継続して勉強することや、勉強する習慣をつくることが大切だと説明してきましたが、言うのは簡単でも実行するのはなかなか難しいですよね……そこで試していただきたいのが、一日のうちに勉強机に必ず向かう習慣をつけることです。
私は一度集中したらかなり長い時間勉強を続けられる性格なのですが、集中するまでの道のりが遠いんですよね…私はゲームが好きで、横になるついついとゲームを始めてしまい、時間だけがどんどん失われていきます。
それで、私が何か目標をもって勉強しないといけないときにいつもするのが、まず勉強机に向かう習慣をつけることです。勉強机で絵を描こうが、YouTubeを見ようが、ゲームをしようが、何をしてもかまいません。とにかくまずは、自分の好きなことをしてもいいので、勉強机に向かう習慣をつけましょう。
一度勉強机に向かう習慣をつければ、あとは参考書を開くだけなので勉強する習慣がつきやすいように感じます。とはいえ人によっては、勉強机でずっと遊んでしまう人もいるかもしれないので、ひとつの方法として参考にしてみてください。
まずは全範囲をざっくり理解
勉強をしていると分からないことがたくさん出てくると思います。しかし、その度にそこで立ち止まるのではなく、どんどん次に進んでいきましょう。登録販売者試験は範囲が広いです。まずは、分からないところがあっても、購入した参考書を最後まで終わらせるようにしましょう。最初は全範囲を一通りざっくりと理解できれば大丈夫です。
参考書によっては、章ごとに簡単な練習問題などがついているので、それも解いていきましょう。間違えたところは、なぜ間違えたのかちゃんと考えることも大切です。練習問題は理解度を確認するためにとても有効なので、しっかり活用していきましょう。
模擬テストを解く
ざっくりと全体を理解したら、一度本番と同じ時間をはかって模擬テストをしてみましょう。最初はひどい点を取ってしまっても気にする必要はありません。なぜなら自分の苦手なところや、理解が不十分なところをあぶりだすことが目的だからです。
一度模擬テストを解いてみると、点が全く取れなかったところ、それなりに解けているところが目に見えて分かるはずです。最も解けなかったところから優先的に勉強していきましょう。一度模擬テストを解くことで、自分の理解度と勉強する分野の優先順位が分かります。また、あとどれくらい点を取れば合格基準に達するかについても確認するようにしましょう。
なぜ間違えたのかちゃんと理解する
問題を解いていく上で大切にしていただきたいのが、答え合わせの際に理解したふりをしないことです。間違えた問題は、なぜ間違えたのかきちんと理解するようにしましょう。本番の試験は、当然ながら練習問題と問題文は変わります。そのため、なんとなくの理解で終わらせてしまうと、問題文が変わった時に解けなくなってしまいます。
復習はとても大切であり、復習を疎かにしてしまうとせっかく問題を解いた時間が無駄になってしまいます。間違えてもいいのでそのあとの復習をしっかりして、どんどん自分の力にしていきましょう。
勉強していく上で大切なのは、間違えないことではなく、なぜ間違えたのかを理解することです。なぜ間違えたのか理解してそれを繰り返していけば、自然と間違いも減っていくはずです。理解したふりで終わらせないように心がけていきましょう。
苦手な点を重点的に勉強
模擬テストを解いて自分の苦手な場所が分かったら、もう一度参考書を読み込みましょう。この段階では、一度参考書を最後まで読んで全範囲をざっくりと理解しており、自分の苦手な箇所もすでに把握していると思います。この段階でもう一参考書を読むと、2回目なので頭に入ってきやすいです。
読み進めながら苦手な箇所にあたったときは、少し時間をかけて丁寧に理解しましょう。すでにちゃんと理解しているところでも、もう一度さっと目を通しておきましょう。もう一度読み込むことでしっかりと定着します。
受験する都道府県の過去問を何度も解く
ここまできたら、あとは実践あるのみです。自分が受験する県の過去問を中心にどんどん問題を解いていきましょう。過去問は自分が受験する都道府県のホームページからダウンロードできます。
私はまず、自分が受験する県の過去3年分の問題を本番と同じ時間で解き、満点に近い点が取れるまで何度も解いていました。これにくわえて、満点に近い点がとれるようになったら、合格率が低い他の県の過去問にも取り組みました。初めて解く他の県の問題でも、満点に近い点が取れるようになると自信につながります。そのかいもあって、本番の時も自信をもって落ち着いて解くことができました。
参考書を読んで全範囲を理解したら、どんどん問題をといて知識をしっかりと定着させていきましょう。
勉強の流れ まとめ
紹介してきた勉強の流れは、以下の通りです。
- 何をしてもよいのでとにかく机に向かう習慣をつける
- 参考書を最後まで読んで全範囲をざっくりと理解する
- 模擬テストをして苦手なところをあぶりだす
- もう一度参考書を読む
- 受験する県の過去問を中心に多くの問題を解く
問題を解くことはもちろん大事ですが、答え合わせの際になぜ間違えたのかちゃんと理解するようにしましょう。過去問をどんどん解いて、ただ数をこなせばよいというものではないです。
一番大事なのはなぜ間違えたのか理解し、同じ問題や似た問題が出たときに間違えないようにするのが大切です。数をこなしてもなぜ間違えたのか理解していなければ意味があまりないので、復習は大切にしましょう。
費用を抑えたいなら独学がおすすめ
登録販売者試験は独学でも十分に合格を目指せる試験です。資格取得にあまりお金をかけたくない人は、独学で勉強するのがよいでしょう。
独学で合格するためには、継続して勉強することがとても大切です。勉強する習慣をつけるのが苦手な人は、まずは毎日勉強机に向かう習慣をつけることから始めてみてください。
それができるようになったら、参考書を読んで模擬試験を解いたり、過去問を解いたりして知識をしっかりと定着させていきましょう。答え合わせの際は理解したふりをせずに、なぜ間違えたのかちゃんと理解することが大切です。
試験本番までにベストを尽くして、万全な状態で試験に臨めるようにしましょう!